コンカフェ開業に必要な基礎知識
コンカフェには、すべての店舗に共通する一つの「コンカフェ営業許可」があるわけではありません。必要な手続きは、店名やコンセプトではなく、実際にどんなサービスを行うかで変わります。
「メイド系」「アイドル系」などの世界観を考えるだけでなく、飲食物やお酒をどう提供するのか、キャストがお客様とどのように関わるのか、深夜営業をするのか、動物やゲーム設備を扱うのかまで具体的にしておくことが大切です。
この記事では、開業前に確認しておきたいポイントを、できるだけ専門用語を避けて整理します。判断が営業内容によって変わるものは、無理に「必要・不要」と断定せず、確認が必要なポイントとして紹介します。
01まずは「どんな営業をする店か」を決めよう
開業準備の最初に決めたいのは、コンセプトだけではありません。法律上の確認では、店舗で実際に行うサービスが重要になります。
たとえば、カウンター内から注文を受けて飲食物を提供し、挨拶や短い世間話をする店と、キャストが特定のお客様の近くで長く会話したり、一緒にゲームをしたりする店では、確認する内容が変わります。
まずは次のような項目を整理しておくと、必要な手続きを確認しやすくなります。
- フード・ドリンクをどのように提供するか
- お酒を出すか、持ち帰り販売もするか
- 営業時間は何時までか
- キャストがお客様とどのように会話・交流するか
- チェキ、ゲーム、ライブ、ショーなどを行うか
- 動物やゲーム設備を扱うか
- 18歳未満のスタッフを採用するか
「コンカフェだからこの許可」と考えるのではなく、サービスを一つずつ分けて確認するのが基本です。
02飲食物やお酒を提供する場合
飲食物を提供する場合
ドリンクを作る、食品を調理する、既製品を加温・盛り付けして提供するなどの営業は、飲食店営業許可の対象となるか確認が必要です。現在は旧来の「喫茶店営業」が飲食店営業に統合され、簡易な調理もその範囲に整理されています。
ただし、食品の扱い方によっては営業届出など別の扱いになるものもあります。「店内に飲食物があるから必ず同じ許可」と決めつけず、何をどのように扱うのかを保健所へ説明して確認しましょう。
対象となる営業では、原則として食品衛生責任者を定める必要があり、食品等事業者には HACCP に沿った衛生管理も求められています。
お酒を提供する場合
店内でお客様に飲んでもらうためにお酒を提供するだけであれば、酒類販売業免許は必要ないと国税庁が示しています。一方、持ち帰り用として販売する場合は、原則として酒類販売業免許が必要です。
また、午前0時から午前6時までの深夜に酒類を提供する場合は、「深夜における酒類提供飲食店営業」に該当するか確認します。ただし、深夜にお酒を出せばすべて同じ扱いになるわけではなく、営業の常態として通常主食を提供する営業は除外される考え方が示されています。
深夜営業を予定している場合は、営業時間や実際のメニューの提供方法まで含めて警察署へ確認しておくと安心です。
03キャストとの会話・ゲーム・チェキはどう考える?
「接客」と「接待」は同じではありません
コンカフェで特に注意したいのが、キャストとお客様との交流です。風営適正化法上の「接待」は、日常的に使う「接客」と同じ意味ではありません。
警察庁の基準では、特定少数のお客様の近くで継続して談笑する、一緒にゲームをする、身体を密着させる、手を握るといった行為は「接待」に当たるとされるものがあります。
一方、カウンター内で注文に応じて飲食物を提供し、それに付随して挨拶や若干の世間話をする程度は、接待に当たらないとされています。
つまり、「会話があるから風俗営業」「カウンター越しなら絶対に大丈夫」と単純に決めることはできません。誰に、どの程度、どれくらい継続してサービスをするのかがポイントです。
チェキ撮影について
警察庁の2026年7月1日付の解釈運用基準では、「チェキ」や「写真撮影」そのものについて、独立した接待の判断基準は示されていません。
そのため、「チェキがあるから風俗営業になる」「チェキだけなら風俗営業にならない」と一律に断定することはできません。
撮影時に身体を密着させる、手を握る、特定のお客様と継続して談笑するなど、別に示されている「接待」の判断基準に当たる行為を伴うことはあります。チェキを導入する場合は、撮影方法や身体接触の有無、撮影前後のサービスまで整理して、管轄警察署へ確認してください。
04ライブ・ゲーム設備・暗い照明を取り入れる場合
ライブ・ショー・ゲーム大会
ライブやダンス、ゲーム大会などを行う場合は、「接待」とは別に「遊興」の確認が必要になることがあります。警察庁は、特定遊興飲食店営業について「深夜・遊興・飲酒」の3つの要素をすべて満たす営業を対象として説明しています。
不特定のお客様にショーやダンスを見せる、生演奏を聴かせる、ゲーム大会に参加させるなどが「遊興」の例として示されています。一方、メイドカフェ等でショーやゲーム大会を行わず、単に飲食物を提供する行為は、「遊興をさせる」行為に当たらない例として示されています。
ゲーム機・遊技設備を置く場合
スロットマシン、一定のテレビゲーム機、ルーレット台、トランプ台などの遊技設備を置いて、お客様に遊技させる場合は、風俗営業5号に該当する可能性があります。
警察庁には、設備の種類や「客の遊技の用に供される部分」の床面積などによって、許可を要しない扱いとする基準も示されています。警察庁の基準では、店舗1フロアの客用スペースに対し、遊技用のスペースが10%を超えない場合は、当面、風俗営業の許可を要しない扱いとする考え方も示されています。
ただし、この面積はゲーム機本体の大きさだけで計算するのではなく、客が遊技するスペースも含めて算定します。原則として、遊技設備が直接占める面積のおおむね3倍とし、その面積が1台につき1.5㎡未満となる場合は1.5㎡として計算します。
そのため、単純に「ゲーム機の据付面積が10%以下だから許可は不要」と判断せず、設置する設備の種類や台数、配置を整理したうえで、事前に管轄警察署へ確認することをおすすめします。
暗い照明を使う場合
ゴシック系やバー系など、暗い照明を演出に使う店舗では「低照度飲食店営業」に該当しないか確認が必要です。警察庁の基準には10ルクスという数値がありますが、店内のどこか一か所が10ルクス以下なら直ちに該当するという単純なものではありません。
客室の種類や測定場所、低照度となる時間などにも基準があるため、かなり暗い照明を予定している場合は、内装工事前の段階で確認しておくのがよいでしょう。
05動物を扱う場合
猫や小動物などを見せたり、お客様とのふれあいを提供したりする店舗では、第一種動物取扱業を確認します。環境省は、営利目的で動物の展示などを行う場合に登録が必要であるとし、「展示」には動物とのふれあいの提供も含めています。
対象となるのは、実験動物・産業動物を除く哺乳類・鳥類・爬虫類です。また、第一種動物取扱業者は、事業所ごとに動物取扱責任者を選任する必要があります。
動物の登録と飲食店営業の手続きは別です。動物を扱いながら飲食物も調理・提供する場合は、それぞれ確認してください。
0618歳未満のキャストを雇う場合
18歳未満のスタッフを採用する場合は、労働基準法だけでなく、店舗の営業形態によるルールも確認します。
労働基準法では、原則として満18歳未満の者を午後10時から翌午前5時まで使用してはならないとされています。
さらに、風俗営業に該当する場合は、18歳未満の者に客の接待をさせることが禁止されています。また、午後10時から翌午前6時まで、18歳未満の者を客に接する業務に従事させることにも規制があります。
一般の飲食店営業にも、午後10時から翌午前6時までの年少者に関する規制が説明されていますが、営業内容による例外もあります。そのため、「18歳未満なら 午後10時まで働ける」とだけ判断せず、自店の営業内容まで含めて確認してください。
07物件を決める前に確認しておきたいこと
開業準備では、先に物件を契約して内装工事まで進めてしまうと、あとから予定していた営業ができないと分かることがあります。
風俗営業や特定遊興飲食店営業などには、店舗の構造・設備や地域に関する規制があります。具体的な営業可能地域には都道府県条例等も関係するため、同じ営業内容でも地域によって確認結果が変わる場合があります。
飲食店営業にも施設基準があります。物件を決める前に、予定している営業内容をできるだけ具体的に整理し、警察署・保健所・自治体等へ相談してから契約や内装設計を進める方が安全です。
開業前に最低限ここを確認
- コンセプトだけでなく、実際のサービス内容まで決めた
- 飲食物・お酒の提供方法と営業時間を決めた
- キャストとの会話・ゲーム・身体接触・チェキの運用を決めた
- ライブ・ゲーム設備・暗い照明・動物などの有無を整理した
- 18歳未満を採用する場合の運用を確認した
- 必要な許可・届出・登録を行政機関へ相談した
- 確認後に物件契約・内装設計を進める
08まとめ
コンカフェを開業するときに大切なのは、「コンカフェという業態名」だけで必要な手続きを決めないことです。
飲食物、お酒、営業時間、キャストとの交流、ライブやゲーム、照明、動物、スタッフの年齢など、自分の店で行うことを一つずつ整理すると、確認すべき制度が見えやすくなります。
特にキャストとの交流は、短い世間話と継続的な談笑、客だけで行うゲームとキャストが一緒に行うゲームなど、実際のサービス内容によって考え方が変わります。チェキも、チェキの有無だけで結論を出さず、撮影時の身体接触や会話などを含めて確認することが重要です。
最後にチェック!
物件を契約したあとに営業内容を変更したり、内装を作り直したりすることを避けるためにも、営業内容を具体化したうえで、早めに管轄の警察署・保健所・自治体等へ相談しましょう。