動物コンカフェの
開業ガイド
犬や猫、鳥、うさぎ、ブタなど、本物の動物と触れ合えるコンカフェには、一般的なコンカフェとは違った魅力があります。
ただし、店内で動物を飼育し、お客様に見せたり触れ合ってもらったりする場合は、動物に関する登録や飼育の基準、飲食物を提供する場合の食品衛生など、いくつか確認しておかなければならないことがあります。
必要な対応は、扱う動物の種類によっても変わります。ここでは、動物コンカフェを始める前に知っておきたい基本的なルールと、犬・猫・鳥・ブタなど動物ごとの注意点を、できるだけ分かりやすく紹介します。
01まず確認したい「第一種動物取扱業」
動物を店内でお客様に見せたり、触れ合う機会を提供したりする動物カフェは、一般的には第一種動物取扱業の「展示」にあたります。
対象となるのは、実験動物・産業動物を除く哺乳類、鳥類、爬虫類です。第一種動物取扱業を始める場合は、事業所・業種ごとに都道府県知事または政令指定都市の長の登録を受ける必要があります。
登録は営業を始めてから行うものではなく、営業前に必要です。また、事業所には、一定の要件を満たした「動物取扱責任者」を配置しなければなりません。ペットを長く飼っているという理由だけで必ず要件を満たすわけではないため、早い段階で確認しておきましょう。事業所には、登録を受けていることが分かる標識を掲示する必要もあります。
第一種動物取扱業の登録は、一度取得すればずっと有効というわけではなく、5年ごとに更新が必要です。
また、展示業者には、取り扱う動物について帳簿を作成して5年間保存することや、毎年度、所有している動物の数などを登録先へ届け出る手続きもあります。開業時の登録だけでなく、営業開始後の記録や届出も含めて準備しておくことが大切です。
02食物を出す場合は食品衛生についても確認

動物取扱業の登録があっても、それだけで飲食店として営業できるわけではありません。
店内で飲食物を扱う場合は、提供する内容や営業方法に応じて、食品衛生法に基づく営業許可や営業届出の対象になる場合があります。また、営業施設には施設基準があります。
必要な手続きは営業内容によって異なるため、内装工事を進めてから判断するのではなく、店舗の平面図や提供予定のメニューを用意し、管轄の保健所へ確認しておくと分かりやすいでしょう。
03動物と触れ合う店舗で共通して考えたいこと
動物コンカフェでは、お客様に動物を見せることだけでなく、動物の健康や安全、人への危害、周辺の生活環境にも配慮した飼育が必要です。
環境省の「展示動物の飼養及び保管に関する基準」では、動物の種類や健康状態に応じた給餌・給水、必要な運動・休息・睡眠の確保、適切な温度や通風、施設の清潔な管理などが示されています。
病気やけががあった場合には、速やかに必要な処置を行い、必要に応じて獣医師による診療を受けさせることも必要です。
お客様との触れ合いについても注意が必要です。展示動物の飼育やお客様への対応については、その動物に十分な知識や飼育経験を持つスタッフが行うか、その監督のもとで行うよう努めることが示されています。
また、人と動物の共通感染症を防ぐため、不適切な接触を避け、動物や排せつ物に触れた後は十分に手を洗い、必要に応じて消毒するよう努めることも示されています。
動物を「見せるための設備」だけでなく、動物が安全に過ごせる環境と、スタッフが適切に管理できる体制を一緒に考えることがポイントです。
04動物の種類ごとに確認するポイント
犬の場合
犬を飼育する設備には、犬の体長や体高を基準にした具体的な大きさの基準があります。
飼い方には、寝床や休息場所となるケージと運動スペースを分ける「運動スペース分離型」と、休息場所と運動スペースを一体として確保する「運動スペース一体型」があり、それぞれに基準が定められています。
犬を展示できる時間は、原則として午前8時から午後8時までです。
また、犬や猫を長時間続けて展示する場合は、自由に休息できる場所へ移動できる状態にする必要があります。それが難しい場合は、展示が6時間を超えるごとに、その途中に展示しない時間を設けます。
さらに、生後91日以上の犬には、狂犬病予防法に基づく登録や狂犬病予防注射が必要です。厚生労働省は、その後も1年に1回の予防注射を行うよう案内しています。
お客様と犬を触れ合わせる場合も、十分な知識を持つスタッフの監督のもと、人への危害や感染を防ぎ、犬に過度な負担を与えないように運営することが大切です。
猫の場合
猫についても、犬と同じように具体的な飼養管理基準があります。
猫は床面積だけでなく、上下方向の空間も考える必要があり、飼養方法によっては棚を設けて複数段の構造にするなどの基準があります。
猫を展示できる時間は、原則として午前8時から午後8時までです。ただし、生後1年以上で、午後8時以降も自由に休息設備へ移動できるなどの条件を満たす「特定成猫」は、1日の展示時間を12時間以内としたうえで午後10時まで展示できます。
「成猫ならすべて午後10時まで展示できる」という意味ではないため、営業時間を決めるときは条件を確認しておきましょう。
複数の猫を飼育する場合も、頭数に応じた適切な飼養環境が必要です。病気やけががあった場合には必要な処置を行い、必要に応じて獣医師の診療を受けさせられる体制も整えておきます。
鳥の場合
インコや文鳥、フクロウなどを営利目的で業として展示する場合も、第一種動物取扱業の対象になります。
展示動物の施設は、動物が逃げ出せない構造や強度にすることが示されています。また、動物の種類に応じて、排せつ場所、止まり木、水浴び場などの設備を備え、適切な温度や通風を保つことも基準に含まれています。
鳥の中でも、鶏、あひる、うずら、七面鳥などは、動物取扱業とは別に家畜伝染病予防法上の飼養衛生管理基準や定期報告の対象になります。
家畜の定期報告は、愛玩や展示など飼育目的を問わず必要とされています。取り扱う鳥の種類によって確認する制度が変わるため、「鳥カフェ」と一括りにせず、実際に飼う種類を決めて確認することが必要です。
ブタの場合
ミニブタやマイクロブタをペットとして飼育する場合でも、家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理の対象となり、毎年の定期報告が必要です。
農林水産省では、豚が6頭未満で、生きた家畜や生産物の出荷を行わないなどの条件を満たす家畜を「非商用家畜」とする基準を設けており、この基準は2026年10月1日に施行されます。
また、指定された区域では、豚を飼育する施設が化製場等に関する法律の許可対象になる場合があります。
厚生労働省は、一般家庭でマイクロブタをペットとして室内飼育し、繁殖のおそれや環境衛生上の問題が生じるおそれがない場合については、同法の許可を要しないとの考え方を示しています。
ただし、この通知は一般家庭でのペット飼育について示されたものです。動物コンカフェにも同じ扱いが適用されるかは、この資料だけではわかりません。店舗の所在地、頭数、飼育方法を伝えたうえで、自治体へ確認してください。
うさぎ・ハリネズミなどの場合
うさぎ、ハリネズミ、フェレット、カピバラなども、営利目的で展示したり触れ合いを提供したりする場合は、第一種動物取扱業の対象になります。
犬猫以外の哺乳類については、環境省が2026年2月に、ケージの大きさや展示時間などの飼養管理基準を具体化する省令改正案を公表し、意見募集を行いました。2026年7月には、中央環境審議会動物愛護部会で改正についての答申案が審議されています。
その後の公布・施行状況は、実際に開業する時点で環境省の最新情報を確認してください。
また、家畜化されていない野生動物を扱う場合は、飼育の難しさ、人への危害、逸走した場合の環境への影響などを考慮する必要があります。種類によっては、動物愛護管理法以外の法律が関係する場合もあります。
05キャストの接客方法は動物のルールとは別に考える
動物に関する登録や飼養基準を満たしていても、コンカフェとしての接客方法は別に確認する必要があります。
警察庁の風営適正化法の解釈運用基準では、特定少数のお客様の近くで継続して談笑したり、特定少数のお客様と一緒にゲームなどを行ったりする行為は、「接待」にあたる例として示されています。
動物取扱業の登録を受けていることと、どのような接客でも行えることは別です。予定している接客内容に応じて、必要な営業上の手続きを確認しておきましょう。
06物件を決める前に必要な条件を整理しよう

動物コンカフェでは、飼育する動物の種類や頭数、触れ合い方法、営業時間によって、必要な設備や確認事項が変わります。
そのため、物件を決める前に「どの動物を何頭飼うのか」「お客様とはどのように触れ合わせるのか」「飲食物をどのように提供するのか」を具体的にしておくと、必要な手続きを確認しやすくなります。
確認する内容としては、第一種動物取扱業の登録、食品を扱う場合の営業許可・届出、犬や家畜など動物ごとの制度、キャストの接客内容に応じた営業上のルールなどがあります。
これらはすべて同じ窓口で確認するものではありません。動物取扱業は自治体の動物愛護管理担当部局、食品営業は管轄の保健所など、内容に応じて関係する窓口へ確認しましょう。
07まとめ
動物コンカフェを始める場合、まず基本となるのが第一種動物取扱業の登録と、動物を適切に飼育・管理できる体制づくりです。
さらに、飲食物を提供する場合の食品衛生、犬や猫の展示時間、鳥やブタに関係する家畜防疫など、扱う動物や営業内容によって確認する制度が変わります。
最初に動物の種類・頭数・触れ合い方法・営業時間などを具体化し、それぞれに必要な手続きや基準を確認してから、物件や内装の準備を進めましょう。